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不適切な排尿、スプレー行動

獣医師が監修しました
工藤 綾乃 先生

獣医師

ねこがトイレ以外の場所で排尿してしまうなどのトイレに関する問題行動、いわゆる不適切な排尿に困っているという方もいらっしゃるのではないでしょうか。この記事では、不適切な排尿とスプレー行動について説明します。

不適切な排尿の原因

まず初めに、不適切な排尿の原因として病気が隠れている可能性もあるということを覚えておいてください。そのため、トイレ以外の場所での排尿が多い場合には、一度病院で検査をしてもらうと良いでしょう。膀胱炎や尿路結石といった下部尿路疾患などが、不適切な排尿の原因となる代表的な病気として挙げられます。病気の場合の症状として、排尿回数が異常に多かったり、血尿がでたり、排尿姿勢をとっても尿が出ない、さらに排尿時に痛がって鳴いたりするといったものがあります。

もし不適切な排尿を引き起こすような病気が見つかれば、治療をすることで行動が改善される可能性があります。

検査の結果、何も病的な問題が見つからなければ、ねこの問題行動であるとして対応してみましょう。未去勢のオスねこの場合には、スプレー行動の場合もあります。

 

スプレー行動の特徴と対策

問題行動による不適切な排尿について話を進める前に、スプレー行動について知っておきましょう。

スプレー行動の目的

そもそもスプレー行動は排尿が目的ではなく、マーキング、すなわち自分の匂いを付けることを目的としています。通常の排尿の場合、ねこは座った姿勢で排尿しますが、スプレー行動の場合は立ったままの場合が多いです。量も排尿時より少なく、壁やカーテンなど、垂直に立ったものに対してすることが多いです。さらに正常の尿より臭いが強烈です。 スプレー行動は去勢していないオスねこに多くみられる行動ですが、メスでも時々見られます。

スプレー行動の原因

多頭飼育や他のねことの接触がある場合は、スプレー行動を起こすねこが多いという報告がされています。これは、ねこ間での社会的関係が複雑になり、テリトリーをめぐる競争が激しくなることが原因であると考えられています。また、新しいねこや家族が増えたり、新しい家具の設置などの環境の変化があったことが原因となってスプレー行動を起こすこともあります。

スプレー行動の対策

去勢によってある程度有効な解決策となりますが、スプレーが習慣化してしまっている場合や、多頭飼育の場合は去勢だけでおさまらないこともあります。多頭飼育の場合は、ねこ同士のテリトリーを分けてあげることも対策の一つです。 フェロモン製剤を使うことでスプレー行動の頻度を減らすことができるとの報告もあるので、利用してみるのも良いでしょう。 スプレー行動を繰り返させないための工夫も大切です。ニオイを残さないようにすることや、食事の場所ではトイレをしないというねこの習性を活かして、スプレーしてしまうところを食事場所とするということもスプレー行動を防ぐ一つの方法です。

 

不適切な排尿が多い場合のチェックポイント

トイレ以外の場所で排尿する原因が病気でもスプレー行動でもない場合、不適切な排尿をするようになった背景に次のような環境の変化がなかったか確認してみましょう。

・家族が増えた、または同居ねこが増えた

・飼い主と長期間離れた

・猫砂やトイレそのもの、トイレの場所を変えた など

また、トイレが汚れている、食事場所と同じところにトイレがある、トイレ以外に尿のにおいがする場所がある、トイレの数が十分でない(ねこの数+1が理想)、トイレがねこに合っていない(サイズや高さなど)、といったトイレに関する問題が原因で、ねこがトイレで排尿をしたくないと感じている可能性もあります。また、多頭飼育や不安により、排尿問題のリスクが増加するとの報告もあります。

トイレ環境を整えてあげること、環境が変化した場合やねこにとってストレス・不安を感じるようなことがある場合は、出来るだけねこが安心できる環境を整えてあげることが不適切な排尿を防ぐことにつながることが多いです。

 

参考文献:

1. Common Risk Factors for Urinary House Soiling (Periuria) in Cats and Its Differentiation: The Sensitivity and Specificity of Common Diagnostic Signs. A.M. Barcelos, et al. Front Vet Sci. 2018.

2. Recent Concepts in Feline Lower Urinary Tract Disease. R.A. Hostutler et al., Vet Clin North Am Small Anim Pract. 2005.

監修者

工藤 綾乃 先生 (獣医師)

札幌出身。地元の北海道大学を卒業後、関東の動物病院で勤務。腫瘍症例の治療に携わるなかで、より効果的な治療を見つけたいと考え、現在は麻布大学博士課程に在籍中。ねこと暮らしながら実験漬の日々を送っている。専門や興味のある分野は、がん、麻酔・集中治療、野生動物臨床など。