ダイエットフードについて

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工藤 綾乃 先生 獣医師
目次

肥満のチェックとダイエット

ねこが肥満なのかを判断するには、適切な体型を知ることが必要です。体型を評価する際に、目安になる一つの基準がボディコンディションスコア(BCS: Body Condition Score)です。見た目や、脂肪の付き方から、体型を5つに分類します。BCS 3が健康的な標準の体型です。

ねこのBCSが4以上であれば、適正な体格になるまでダイエットしていく必要があるでしょう。

 

ダイエットフードの選び方のポイント

ダイエットの基本は摂取カロリーの制限です。しかし、普段の食事を減らすだけでは、摂取できる栄養素も減るため、ねこの健康を損ねてしまう可能性があります。適切なダイエットフードを選んで、日々の食事の量と質を見直しましょう。

<ダイエットフードの特徴>

低カロリー

グラムあたりのカロリーが少ない設計です。

高タンパク・低脂質・低炭水化物

脂肪の蓄積を抑えつつ、筋肉量を維持するために適切な範囲内で調整されています。

食物繊維への配慮

満腹感を持続するために食物繊維を増やしつつ、便秘になりにくいように不溶性食物繊維と可溶性食物繊維の配合が工夫されています。

栄養バランス

減量による栄養の偏りや栄養不足が生じにくい設計です。

ダイエットは継続することが大切です。いくら理想的なダイエットフードでもねこに食べてもらえなければ意味がありません。また、食べてもらえても食事アレルギーや体調不良を示してしまっては継続できません。根気強くねこに合ったダイエットフードを探しましょう。

 

ダイエットプラン

・フードの変更

ねこに合ったダイエットフードを決めたら、今のフードから少しずつ変更していきましょう。急な変更は、胃腸が順応できずに消化不良を引き起こしてしまう恐れがあります。目安として7日間以上かけて、食事全量の10%くらいから徐々に入れ替えていきましょう。

・フードの量 

計画的にダイエットをするために、以下の手順で1日のフードの量を決めましょう。

1. まずは、ねこのBCSをもとに理想の体重を設定しましょう。

2. 理想の体重をもとにRER(安静時のエネルギー要求量)を通して、1日に必要な摂取カロリーを知りましょう。

RER(kcal/day)=30×(理想の体重)+70

1日に必要な摂取カロリーはRERに1.0~1.2を掛けたものを考えると良いでしょう。掛ける数字はねこの活動量や年齢によって変動するため、設定前に獣医師に相談できると安心ですね。

3. フードの量を算出しましょう。

フードのパッケージには単位グラム当たりのカロリーが記載されています。ねこの1日に必要な摂取カロリーを、フードのカロリーで割った値が1日のフード量の目安になります。

例えば、体重5kgでBCSが4のねこの場合、

1. 5kgは理想より20%重いため、理想の体重は約4.2kgになります。

2. 体重4.2kgでのRERは30×4.2+70=196kcal/dayとなります。よって、1日に必要な摂取カロリーは196kcal~235kcalとなります。

3. ダイエットフードのカロリーが3kcal/gであれば、1日のフード量は 196÷3=65 235÷3=78 で65g~78gが目安と考えられるでしょう。

1日のフードの量が決まったら、必ず毎回計量して与えるようにしましょう。

・おやつについて

ねこがメインの食事を食べていれば、おやつが無くても健康維持ができるでしょう。加えて、ダイエット期間中はおやつのカロリー摂取も体重減量の妨げになります。よって、おやつを食べなくて済むなら与えない方がいいでしょう。しかし、ねこの楽しみとしておやつを与えてあげたいという考えも分かります。おやつを与える場合は、きちんとカロリーの計算をしましょう。1日の摂取カロリーの5%程度におさめて、与えたおやつの分、メインの食事量を減らして調整しましょう。

・体重減少の速度

急激なダイエットは心身ともに負担が大きいため、適切な速さで計画的に体重を減らしていきましょう。目安としては1週間で体重の0.5%~2.0%のペースが理想的です。定期的に体重測定をして、ダイエットの達成度を確認して、ペースによって食事の量を調整しましょう。

無理なダイエットに注意

ダイエットは計画的に心身ともに負担をかけないように継続することが大切です。食事量を減らしすぎて短期間に痩せてしまうことは、飢餓や肝リピドーシスを引き起こしてしまう恐れがあります。特に肝リピドーシスは、飢餓状態になって分解された脂肪が肝臓に異常に蓄積されて、肝障害を引き起こす病気で命に関わります。ダイエット中は、ねこの体重の変動だけでなく、健康状態にも注意しながら毎日の生活を送りましょう。

参考文献
1. 2014 AAHA weight management guidelines for dogs and cats. Dawn Brooks. J Am Anim Hosp Assoc. Jan-Feb 2014.
この記事を監修した人
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工藤 綾乃 先生 獣医師

札幌出身。地元の北海道大学を卒業後、関東の動物病院で勤務。腫瘍症例の治療に携わるなかで、より効果的な治療を見つけたいと考え、現在は麻布大学博士課程に在籍中。ねこと暮らしながら実験漬の日々を送っている。専門や興味のある分野は、がん、麻酔・集中治療、野生動物臨床など。

発行・編集:株式会社トレッタキャッツ

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