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ねこの皮膚糸状菌症

獣医師が執筆しました
原田 優眞 先生

獣医師

皮膚糸状菌症とは

皮膚糸状菌症は、真菌といういわゆるカビを原因とした皮膚の感染症です。ねこの皮膚糸状菌症の原因となる真菌は90%以上がMicrosporum canisという種類ですが、それ以外にもTrichophyton属やEpidermophyton属などが病気を起こすと言われています [1]。
特に、子猫や免疫の低下したねこで重度の症状がみられることが多いので注意が必要です。


症状

円形の皮膚の赤みや脱毛、フケ、かゆみなどが良く見られる症状です。

鼻やこめかみ、耳周りなど、頭部に症状が出ることが多いですが、足やしっぽなど全身のどの部位でも症状が出る可能性があります。

診断のために行う検査

ウッド灯検査

Microsporum canisというカビから作られる物質は、ウッド灯という特定の波長の紫外線を照射する器具を用いて毛を照らすと、光るという特徴を持っています。感染が疑われる部位に光をあてて感染を調べる検査がウッド灯検査です。デメリットとしては、他の原因菌が感染している場合には検出できないという点があります。

毛の鏡検

カビの感染した毛を顕微鏡で確認することで、毛に付着したカビによる石垣状と呼ばれる構造を確認する検査です。

真菌培養検査

皮膚糸状菌症のゴールドスタンダードとなる検査が真菌培養検査です。カビが生えやすい特別な培地に毛やフケを入れて培養することで、生えてくるカビや培地の色の変化を調べる検査です。培養には1週間から2週間程度の日数が必要です。

 

治療

抗真菌薬

飲み薬での全身的な抗真菌薬の投薬や、塗り薬での局所的な抗真菌薬の塗布を組み合わせて治療を行います。真菌症の治療は長くかかることが多く、少なくとも10週間ほど抗真菌薬を使用することもあります [1]。症状が消えたあとも治療を継続しつつ、感染が残っていないか、真菌培養を繰り返すことが大切です。

シャンプー

抗真菌剤の含まれたシャンプーも治療の一環として行うことがあります。ねこなどの被毛に覆われた動物では局所の塗り薬が浸透しにくいという問題点があるので、シャンプーで全身をしっかり抗真菌剤に触れさせることが推奨されます。

感染源の除去

汚染された環境からの再感染や別の部位への感染の拡大を防ぐために、カビが確認された部位の被毛やフケ、飼育用具などの廃棄や消毒も大切です。感染部位周囲の毛を刈り取ることも検討します。

 

予防

皮膚糸状菌症になったねことそれ以外のねこを隔離することが重要です。直接的な接触がなくても、真菌で汚染された被毛やブラシ、おもちゃ、環境などにさらされることで感染する可能性があるため、飼育用具なども分けることも大切です。



注意点

感染力が強く、同居の犬猫がいる場合には注意が必要です。感染したねこやその毛などが他の犬猫に触れないよう管理することが大切です。

真菌は分節胞子の状態だと環境中に長く残り、乾燥した環境では12ヵ月以上生き残るとも言われています。一般的な殺カビ作用を持つ消毒薬での消毒も有効ですが、分節胞子に対しては、石灰硫黄合剤の33倍希釈や0.2%エニルコナゾール、家庭用塩素系漂白剤の10倍~100倍希釈が有効と言われています [1]

皮膚糸状菌症はねこだけでなく、人にも感染する人獣共通感染症です。人の場合、感染すると腕などに円状に赤くなる病変が出ることがあるので、皮膚糸状菌症の動物の近くにいる人で似た症状が出る場合は人の病院にかかることをお勧めいたします。

 

参考文献:

1. Dermatophytosis in cats: ABCD guidelines on prevention and management. T Frymus et al. J Feline Med Surg. 2013.

執筆者

原田 優眞 先生(獣医師)

広島出身。北海道大学を卒業後、関東の動物病院で犬・猫・エキゾチック動物などの診療に従事。犬だけではなく、いろんな動物の医療が充実するといいなと思ってます。興味のある分野はエキゾチック動物、野生動物、血液など