ねこが誤食してしまったときの対処法
誤食とは
ひとの食事が気になって食べてしまったり、紐やビニールで遊ぶうちに飲み込んでしまったり、誤食とは文字通り、本来の食事以外のものを誤って食べてしまうことです。誤食の恐れがあるものについては、ねこのいる場所に置かない、隠すことを徹底しましょう。
それでも誤食してしまった場合、見ているときであればすぐに病院に連絡してください。その時は、何を、どれくらいの量たべたか、食べてからどれくらいの時間経過したか、嘔吐の有無や意識状態などをしっかり伝えるようにしてください。また、不在時に部屋の中でいたずらした様子があったり、ゴミ箱が倒れて中身がでていたり、おもちゃや髪ゴムが見当たらなくなっていたりするときも要注意です。誤食直後は無症状でも、後々食欲不振、嘔吐、吐こうとするがでない、えづくなどの症状がみられることがあります。
代表的な注意すべきもの
中毒をおこしうるもの
ネギ、玉ネギ、にんにく、チョコレート、コーヒー、ブドウ、レーズン、ユリ、乾燥剤、人用の薬(特に解熱鎮静剤は毒性が強い)など
腸閉塞をおこしうるもの
ねこのおもちゃ、ペットシーツ、ティッシュ、カーペットや毛布、歯磨きガムなど
腸を傷つけ、穴をあける可能性のあるもの
おもちゃの紐やリボン、ボタン電池、画鋲、縫い針、洗剤など
誤食をしてしまったときの処置
誤食をしてしまったものの種類によって、動物病院では次のような処置を行います。
催吐処置(薬剤を注射して吐かせる処置)
誤食後1-2時間以内であれば胃内に残っている可能性が高いため、吐き出させる処置をします。中毒を起こしうるものでも、早期であれば吐き出させることでその毒素が吸収される前に体外に出すことができます。尖っていて吐き出すときに食道に刺さる可能性のあるもの、洗剤など食道炎を起こす可能性のあるものの場合は処置の適応になりません。
内視鏡(胃カメラ)
催吐処置適応にならない場合や催吐処置をしても吐き出さない場合でも、胃内にあれば内視鏡による摘出が可能になります。全身麻酔が必要になりますが、体を切ったりするわけではないので、日帰りでも可能な処置です。ですが、ねこの小さな体にいれる胃カメラですので、大きさなどに限界がありうまく摘出できないこともあります。その場合はお腹をあけて、胃や腸を切らなければいけません。
胃切開、腸切開
内視鏡で摘出できない場合や、胃から先の腸の中で閉塞を起こしている場合には、手術をして胃や腸を切って異物を取り出さなければいけません。全身麻酔が必要になり、縫った後の管理のため数日から1週間は入院が必要です。また、ひも状のものは腸のなかで引っかかっている場合があるので、腸を何か所も切らなければいけないこともあります。さらに、閉塞を起こして時間が経っていると腸が傷んでしまって切除しなければいけないこともあります。
対症治療
食べたものが小さい場合や、毒性が低いような場合、通常の食事と同様に便として出ることが期待できます。点滴をして排泄を促したり、吸着炭で体に吸収されるものを減らしたり、胃薬や胃粘膜保護剤などで胃腸のケアをして様子を見ていきます [1]。
帰宅後も注意したい症状
中毒を起こすものの中には、時間がたってから症状がでてくるものがあります。毒素に対する耐性はねこによって個体差があるので一概には言えませんが、だいたい24時間以上経ってから貧血や、腎臓や肝臓の障害が出てくることがあります。特にネギ類やユリ科の植物、人用の消炎鎮痛剤などで注意してください。
自宅での催吐処置はとても危険
オキシドールや食塩を使って、病院ではなく自宅で吐き出させるのはとても危険な方法です。オキシドールは食道や胃の粘膜を傷つけますし、食塩は食塩中毒をおこして脳にダメージを与える可能性があります。自宅での催吐処理は行わず、必ず病院を受診するようにしましょう。
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