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キャリーバッグ(ケース)に慣れるためには

獣医師が執筆しました
山田 良子 先生

獣医師・獣医学博士

特任研究員(東京大学)

はじめに

ねこの健康のために避けて通れないのが通院です。「動物病院に連れていきたいのにキャリーバッグ(ケース)に入ってくれない」という状況になると困ってしまいますよね。無理やり入れるのは大変ですし、ねこにとってもストレスになってしまいます。今回は、キャリーバッグに慣らし、ねこに自分からキャリーバッグに入ってもらうための練習方法をご紹介します。

 

キャリーバッグ選びのポイント

まず、ねこが入りやすいキャリーバッグを選ぶことが重要です。さらに、診察時にねこを出しやすいという点もキャリーバッグ選びのポイントになります。

キャリーバッグの形には色々ありますが、動物病院に連れていく場合は上側が大きく開くタイプや天井部分を外せるタイプのプラスチック製キャリーバッグがおすすめです。動物病院という慣れない環境では、キャリーバッグから出たがらない子も少なくありません。上側を開けられるキャリーバッグであれば、ねこを無理に引っ張り出す必要がなく、そっと開けてねこをバスタオルで包みやすくなるため、ねこへの負担が少なくなります。


キャリーバッグに入ってもらうための練習

ステップ1. キャリーバッグの蓋を開けて普段から部屋に置いておく

片づけてあるキャリーバッグを通院の時だけ出してくると、キャリーバッグを見たねこは病院に連れていかれることを察知し、警戒するようになってしまいます。キャリーバッグは普段から扉を開けてねこのいる部屋に置き、ねこが自由に出入りできる状態にしておいてください。また、キャリーバッグの中には毛布やタオルを敷き、ねこにとって快適な環境にすることが勧められます。

キャリーバッグに慣らすポイントは無理やり入れないことです。ねこが自分からキャリーに入っても、初めのうちはまだ扉を閉めないでくださいね。


ステップ2. キャリーバッグの中でフードやおやつをあげる

スムーズにキャリーバッグに入ってもらうためには、「キャリーバッグの中に入ると嬉しいことがある」とねこに理解してもらう必要があります。普段からキャリーバッグの中で少量のフードやおやつを与え、キャリーバッグを「美味しい食べ物がもらえる素敵な場所」にしてください。キャリーバッグに近づこうとしない場合は手前でフードやおやつを与えるところから始めます。少しずつキャリーバッグの近くに誘導していきます。

ステップ3. キャリーバッグの扉を徐々に閉めていく

フードやおやつを使ってキャリーバッグにスムーズに入るようになってきたら、ねこが中で食べている最中に少しだけ扉を閉めます。初回から完全に閉めるとねこは驚いてしまいますので、最初は少し扉を動かす程度にします。焦らず、ねこの反応を見ながら数日かけて徐々に扉を閉めていきます。完全に閉めても気にしないようになったら、少しずつ扉を閉めている時間を長くしていきます。

ステップ4. キャリーバッグでの移動にチャレンジ

完全に扉を閉められるようになったら、ゆっくりとねこが入ったキャリーバッグを持ち上げてみてください。ねこを驚かさないよう、最初は少し持ち上げるだけに留め、徐々に高さを上げていきます。持ち上げられるようになったら、キャリーバッグで移動する練習に進みます。ねこが入ったキャリーバッグを持ち、家の中を少し歩いてみてください。将来的にはかかりつけ病院の先生と相談し、「病院に連れて行って診察台に乗せ、おやつを食べて帰宅する」という練習もできると理想的ですね。キャリーバッグだけではなく、病院に慣れておくこともスムーズな通院のために大切です。

 

おわりに

キャリーバッグに慣れるための練習のコツは焦らないことです。数日で慣れさせることは難しいため、ねこが健康なうちからじっくり取り組むことがポイントです。ねこの反応をみながら練習を進め、ストレスの少ない通院を目指しましょう。 

参考文献:

1. International Cat Care, Encouraging your cat to be happy in a cat carrier -video, 2019. https://icatcare.org/advice/encouraging-your-cat-to-be-happy-in-a-cat-carrier-video/ (アクセス日:2021年1月13日)

2. イヌとネコの問題行動の予防と対応, 水越美奈監修, 第一版, 緑書房. 120-121,142. 2018

執筆者

山田 良子 先生 (獣医師・獣医学博士)

獣医師, 博士(獣医学)。東京大学農学部獣医学専修及び同大学院農学生命科学研究科獣医学専攻博士課程卒業。動物と人間が共に暮らしやすい社会づくりに貢献することを目指し、東京大学附属動物医療センターにて行動診療に従事(特任研究員)。専門は動物行動学、臨床行動学。愛猫は11歳の白猫「ユキ」。