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8/4(木)-8/11(木)

頻尿について

獣医師が監修しました
工藤 綾乃 先生

獣医師

 頻尿とは

排尿の回数が正常より多く、特に一回当たりの尿量が少ないことを頻尿といいます[1]。個体差はありますが、成猫の場合、一日に5回以上排尿姿勢をとっていると頻尿といえます。子ねこの場合は膀胱が小さく、尿をあまり溜めておけないので、排尿回数はもう少し多くなることがあります。

頻尿は、下部尿路(腎臓で作られた尿が排泄されるまでの経路)に何らかの異常があることが原因となり、思うように尿が出せず、尿が出にくいために頻繁に出そうとしているか、または残尿感が生じ、尿がたまっていなくても頻繁に出そうとしている、といういずれかの状態によって引き起こされることが多い症状です。

症状として、トイレに行く回数が多い、トイレ以外で排尿をしてしまう、排尿の姿勢をとるのに尿が出ない、または少量の尿しか出ない、排尿するときに鳴く(痛がる)、血尿がみられるなどがあります。尿がスムーズに出せない状態が続くと、嘔吐や食欲不振といった症状も出てくることもありますので、頻尿の症状が続く場合は病院で診察してもらいましょう。

排尿回数が増えるという点で、頻尿によく似た症状に「多尿」があります。多尿は、尿量が多くなっていて何度も排尿しなければならないといった状態で、一回当たりの尿量が少ない頻尿とは異なる症状です  [1]。多尿は水を多く飲む症状「多飲」と関連することが多くあります。詳しくは多飲多尿のページをご覧ください。

また、トイレが汚れている場合やトイレの環境がねこにとって落ち着かない場合、そのトイレを使うことを嫌がって何度も様子を見に行っては臭いをかいだりするだけ、排尿姿勢を取らない、といった行動をとることもあります。この場合はトイレの清潔に保ち、ねこが落ちついてトイレができる場所に移してあげることで正常に排尿するようになることもあります。

頻尿の原因

・尿路結石

尿路のどこかにできる石を尿路結石といいます。結石は砂粒くらいのものから数cmのものまでさまざまです。結石が尿路を防いで尿が出にくくなったり、尿路を傷つけて血尿が出たりする原因となることがあります [3]。

・膀胱炎

膀胱炎には、細菌の感染による細菌性膀胱炎と、原因が分からない特発性膀胱炎があります [3]。特発性膀胱炎は、ストレスや肥満などによって生じる可能性があるという報告があります。

・尿道炎

尿道の炎症は、細菌感染などによって起こることがあります [3]。排尿時の痛み、不快感、残尿感などを引き起こす可能性があります。

・腫瘍

ねこではまれですが、膀胱に移行上皮癌という腫瘍ができることがあります [2]。腫瘍によって膀胱の容積が小さくなることで尿を少ししか溜めておけなくなったり、膀胱の筋肉が動きづらくなってうまく収縮できなくなり、少しずつしか尿を出せなくなったりして頻尿となることがあります。

他にも、一部の薬によって頻尿となることもあります。

ちなみに、多尿によってトイレに行く回数が増えている場合には、腎臓病や糖尿病などが隠れている場合が多いです。多尿は、多飲(たくさん水分をとること)と合わせて出ることが多い症状なので、頻繁に排尿しており、かつ一回当たりの尿量も正常~多い場合は、一度一日に飲んでいる水分量を測定してみましょう。

検査

尿路の異常が疑われる場合は、一般的な血液検査などに加えて次のような検査をします。

・尿検査

尿の中に血球や過剰なタンパク質が混じっていると、尿路の炎症が疑われます。結晶が多く見つかれば尿路結石の可能性が高くなります。

・尿培養

細菌の感染の有無を調べるため、尿を培養して細菌を分離することもあります。

・エコー検査、X線検査

腫瘍や結石の有無を調べることができます。

治療

各原因によって治療法は異なります。例えば尿路結石の場合、フードを尿石用の療法食に変えることで、結石の種類によっては小さな結石を溶かすことができる場合があります。溶かすことができず、また重症の場合は手術での摘出が必要となることもあります [3]。

膀胱炎や尿道炎など、細菌の感染が原因となっている場合は抗生物質を投与します。その他、腫瘍がある場合は外科手術や抗がん剤などで治療することがあります。

 

予防

トイレを清潔に保つ、ねこが落ち着ける場所に設置してあげる、ごはんの場所とは分けてあげるなど、トイレ環境を整えてあげることでねこがトイレを我慢しなくなり、結果として尿路結石や尿路感染症の予防につながります。また、新鮮な水をいつでも飲める状態にしてあげることも、このような病気の予防に重要です。他にも、肥満防止や適度な運動は、特発性膀胱炎の予防にもなる可能性があります。

このように、日ごろからねこの生活環境を整えてあげることは、頻尿だけではなく、他の病気にかかることを防ぐのにも役立ちます。

また、日ごろから排泄状態も含めてこまめにねこの体調をチェックしてあげることで、いつもと違う点があったときにすぐに気づけるようになるでしょう。

  

参考文献:

1. Chapter 20 -Polyuria and Polydipsia-. D.J. Polzin. Canine and Feline Gastroenterology. 2013.

2. Lower urinary tract transitional cell carcinoma in cats: Clinical findings, treatments, and outcomes in 118 cases. M.A. Griffin, et al. J Vet Intern Med. 2020.

3. Recent Concepts in Feline Lower Urinary Tract Disease. R.A. Hostutler et al., Vet Clin North Am Small Anim Pract. 2005.

監修者

工藤 綾乃 先生 (獣医師)

札幌出身。地元の北海道大学を卒業後、関東の動物病院で勤務。腫瘍症例の治療に携わるなかで、より効果的な治療を見つけたいと考え、現在は麻布大学博士課程に在籍中。ねこと暮らしながら実験漬の日々を送っている。専門や興味のある分野は、がん、麻酔・集中治療、野生動物臨床など。