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ねこが中毒を引き起こす可能性があるもの

獣医師が執筆しました
田中 由衣子 先生

獣医師

ねこ好きのみなさまはもうご存知でしょうが、人とねこ、あるいは犬とねこでは食性がとても異なり、また食べてはいけないものも異なります。一緒に楽しく生活するためにも、食べてはいけないものをしっかり把握しておく必要があります。

誤食に注意

まずは大切なこととして、人のごはんをわけあたえることは避けましょう。飼い主のみなさまに興味津々なねこたちは、ご家族が食べているものにも当然興味があります。それを一度もらえてしまったら、味を占めてしまうのも無理がありません。可愛がる気持ちと、同じ食べ物を食べさせることは、まったくの別物です。ねこ用のごはんを用意しましょう。

また、ねこたちは頭もよく、手先が器用です。ただし、口に含んでみていろいろな情報を得る生き物なので、食べてはいけないもの、食べものではないものを手の届かないところに置くのは飼い主様の仕事です。食べさせたくないものは、おもちゃも含めて、手の届かないところにしまっておきましょう。完全に部屋をわけるか、蓋つきの箱に収納すると安心ですね。

中毒を引き起こしえるもの

生の魚・貝・イカ

ねこは魚が大好きというイメージがあると思いますが、原則生のまま与えることはできません。これらにはチアミナーゼという、チアミン(ビタミンB1)を非活性化する酵素が含まれます。私たち人はチアミンの要求量が少ないため問題になりづらいですが、ねこではチアミン欠乏症を引き起こすことがあります [1]。

タマネギやにんにく・ニラを含むネギ類

発症時期は翌日から数日後とばらつきがありますが、消化器症状・貧血を生じるといわれています。この成分は、加熱など加工してあっても毒性が残るため、注意が必要です [2,3]。煮物をつまみ食い…などされないようにしましょう。

アボカド

実や種・葉などがヒト以外には毒性を示すといわれており、食べものとしても観葉植物としても注意が必要です。嘔吐下痢などの消化器症状や呼吸困難、心嚢水貯留などを生じるといわれています [3]。

チョコレート・コーヒー

カフェインやテオブロミンが含まれるため、高血圧や頻脈になることがあります[2,3]。また、ポリヒドロオキシフェノールという成分は貝類と同様にチアミンを破壊し、欠乏症を引き起こすこともあります [1]。

アルコール

身体の小さなねこには影響が大きく出やすく、活動性の低下や鎮静、消化器症状、肝障害が生じることがあります [3]。

ヒト用の医薬品や洗剤

意外とよく遭遇します。これらを摂取してしまった場合、当然ねこのダメージは大きくなりがちです。食べものではないからと油断せず、ねこの手の届かないところにしまいましょう。万が一誤食された場合は、成分がわかるようにパッケージなどを病院に持っていくようにしましょう。

観葉植物

ねこに毒性をもつものも多いため、原則置かないようにしてください。特に有名なものとしては、ユリ科植物があります。ユリは花粉・葉・花弁をはじめ、植物全体に毒性があり、葉一枚で命にかかわることがあるといわれています。症状としてはよだれが出たり、吐いてしまったり、ひどいとぐったりすることもあります [4]。

不凍液・塗料

車や暖房の不凍液、また以前は保冷剤の中身などとしても広く使われていた、エチレングリコールという成分はねこに毒性があります。代謝性アシドーシス・急性腎不全を引き起こすといわれています [5]。

歯磨き粉など

犬で、キシリトールが低血糖を引き起こすことは有名かと思います。今のところ、ねこでは影響は少ないかと思われますが [6]、情報が足りていない可能性がありますので、「人用の歯磨き粉をねこちゃんでも使用…」などは行わない方が無難です。

 

 

上記、ねこが食べていけないものとして有名なものを中心に説明させていただきました。アメリカ動物虐待防止協会の2015年の発表によると、犬やねこの誤食で多いものは以下の通りだそうです [7]。意外と無機質なものも多いのではないでしょうか。

みなさんのご家庭で、ねこの周りはどうでしょうか。この機会に生活環境を見直してみましょう。

参考文献:

1. The Role of Thiamine and Effects of Deficiency in Dogs and Cats; G. Kritikos, et al., Vet Sci, 2017.

2. Household Food Items Toxic to Dogs and Cats; C. Cortinovis and F. Caloni, Frontiers in Veterinary Science, 2016.

3. Some Food Toxic for Pets; N. Kovalkovicova, et al., Interdisc Toxicol, 2009.

4. Lily toxicity in the cat; K. Fitzgerald, Top Companion Anim Med, 2010.

5. Ethylene Glycol Toxicity; A Retrospective Pathological Study in Cats; L. Amoroso, et al, Vet Ital, 2017.

6. Effects of p.o. administered xylitol in cats; A. Jerzsele, et al, J Vet Pharmacol Ther, 2018.

7. ASPCA Animal Poison Control Center , https://www.aspca.org/pet-care/animal-poison-control, 訪問日: 2022年2月12日

執筆者

田中 由衣子 先生 (獣医師)

東京都出身。幼少期から動物が好きで、いろいろな生きものを追いかけて育つ。卒業後は腫瘍研究をしながら、小動物臨床に携わってきた。数年前から研修もはじめ、ねこちゃんとそのご家族に最適な治療を提供すべく、日々勉強に追われている。