玉ねぎ中毒について
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玉ねぎ中毒とは
玉ねぎを含むネギ属は、ねこにとって有毒な食物です。ねこがネギ属の食物を摂取すると、嘔吐や下痢などの消化器症状、更には貧血を生じる場合もあるため、注意が必要です。
身近なネギ属の食物として、玉ねぎ以外に、ねぎやにんにく、にら、チャイブなどがあります。これらの食物に含まれている有機スルホキシドが中毒物質であり、この物質は加熱や乾燥処理をしても毒性が変化しません。そのため、例えば玉ねぎを食べていなくても、玉ねぎが含まれたスープを大量に飲んだ場合なども注意が必要です。
ねこの中毒量は玉ねぎの場合は、5g/kgとされており、体重4kgの猫の場合、20g(玉ねぎが200gの場合、1/10の量)を食べると中毒症状が出ると報告されています [1]。
症状
玉ねぎ中毒の一般的な症状は嘔吐や下痢などの消化器症状です。
また、血液中の赤血球が破壊されてしまい貧血を起こす場合があり、その場合には以下の症状がみられます。これらの症状は摂取してから数日後から生じることもあるため、注意が必要です。
・赤黒い尿
・舌が白っぽくなる
・呼吸が早い
・食欲の低下、元気がなくなる
診断のために行う検査
身体検査
口から玉ねぎの臭いがしないか、尿色に異常がないか確認します。
血液検査
貧血がないか、他に嘔吐や下痢などを起こす異常がないかを確認します。
X線検査
他に嘔吐や下痢などを起こす異常がないか、腎臓や膀胱に結石がないかを確認します。
エコー検査
他に嘔吐や下痢などを起こす異常がないか、腎臓や膀胱に結石がないかを確認します。
治療
ネギ属の食物を食べてすぐの場合には、症状がまだ出ていないことが多いです。しかし、中毒量に達している場合にはこのタイミングで催吐処置や胃洗浄などの処置を行い、食物を体外に排泄させることが重要です。また、催吐処置以外に活性炭と呼ばれる吸着剤を用いて中毒物質の排泄を促す場合もあります。
嘔吐や下痢などの消化器症状が出た場合には、点滴や吐き気止め、下痢止めなどのお薬を使って治療を行います。
貧血が起きてしまった場合には、抗酸化作用を持つビタミンの投与や、重症の場合には輸血処置が必要になってしまいます。
玉ねぎ中毒は、時には重症化することもある危険な中毒です。摂取が疑われる場合にはなるべく早く獣医さんに相談し、治療を受けてあげてくださいね。

札幌出身。地元の北海道大学を卒業後、関東の動物病院で勤務。腫瘍症例の治療に携わるなかで、より効果的な治療を見つけたいと考え、現在は麻布大学博士課程に在籍中。ねこと暮らしながら実験漬の日々を送っている。専門や興味のある分野は、がん、麻酔・集中治療、野生動物臨床など。
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