キャットタワーは必要か

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工藤 綾乃 先生 獣医師
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キャットタワーと役割

様々な形や高さのキャットタワーがたくさんありますが、キャットタワーはねこにとってなぜ必要なのでしょうか?

この質問に対する答えを簡単にまとめると、キャットタワーにはねこの本能を満足させる機能が備わっており、ねこのストレスを解消することができるから、となります。では、キャットタワーがねこのどのような本能を満たすのか、具体的に見ていきましょう。

高いところに登る

ねこは、縄張りを確認したり、外敵から逃げたり、また獲物を狙ったりするために高いところに登ります。野生のネコ科動物であれば、この”高いところ”というのは基本的には木を指します。室内飼育のねこの場合、キャットタワーがこの役割を担います。

爪をとぐ

鋭い爪を維持するためだけではなく、自分の縄張りを主張するために爪で目印をつけたり、前足にある臭腺から出る匂いをつけたりするためにも、ねこにとって爪をとぐことは重要な行動のひとつです。また、爪をとぐ行為はストレッチにもなります。爪とぎをキャットタワーとは別に準備することももちろん良いですが、キャットタワーに取り付けられているものもあります。爪とぎはねこを飼育する上で、そしてソファや家の柱などで爪をとがれないようにする上で必須のアイテムですので、キャットタワーについていないとしても準備しておくようにしましょう。

身を隠す

安全を確保したいとき、周りの目から隠れて落ち着きたいときなどに、ねこは身を隠せる場所を探します。キャットタワーにも、ねこが隠れられる場所が備え付けられているものがあります。

こういったねこの本能を満たすことができるということは、ねこのストレス発散にもつながります。また、それと同時にキャットタワーに期待できるのが運動不足の解消です。完全室内飼育のねこの場合、上下運動できる場所が限られてしまいがちですが、キャットタワーでこの問題をある程度解決することができます。

 

選び方のポイント

ねこが飛び乗ったり、上を動き回ったりしても安全であることが第一です。そのため、足場が頑丈で安定しているものを選びましょう。

また、水平面に滑り止めがついているものであれば、ねこが動き回るときにもより安全です。使用するねこに合わせたものであることも重要です。老ねこや運動能力に問題があるねこの場合は、小型で背が低いもの、上り下りがしやすいデザインのものが好ましいです。

キャットタワーの大きさは、飼っているねこの数、部屋の広さ、予算によって異なります。ただ、ねこが複数いる場合は、一度にそれぞれのねこが異なる高さに座れる大きさが良いでしょう。

また、ねこが安心して眠ることができるように、すっぽりと隠れることのできるスペースがついているものも良いでしょう。しかし、ねこの性格によっては、そのようなスペースにはいらない子もいるということは理解しておきましょう。

他にも、おもちゃが吊り下げられたものもあります。おもちゃはすぐに壊れてしまうことが多いので、簡単に取り外し・取り換えができると良いですね。

ねこにとってだけでなく、飼い主にとっても満足できるものを選びたいところです。例えば実用性を求めるのであれば、掃除がしやすいもの、部品交換が可能なもの(爪とぎをする場所、おもちゃ、滑り止め、壊れやすいパーツなど)を選べば、飼い主にとってもストレスが減るでしょう。その他、部屋のインテリアに合ったものだと部屋をよりおしゃれにすることもでき、飼い主の満足度も高くなるかもしれません。

 

注意点

キャットタワーでねこも飼い主もストレスの少ない、楽しい生活を送りたいところですが、注意点もあります。紐のついたおもちゃがぶら下がっているデザインのものは、おもちゃがとれてしまったときなどに、ねこが誤食してしまう可能性があります。特にファー付きのものや紐状のものには注意が必要です。飲み込んだものによっては深刻な問題を引き起こすこともありますので、おもちゃが取れないもの、またはねこが誤食をしないような構造のおもちゃがついているものを選びましょう。

また家に慣れていないねこの場合、キャットタワーがあると、パニックを起こした時に上から飛び降りてケガをしてしまう可能性もあります。キャットタワーを置くのはねこが家に慣れてからにしてあげましょう。

この記事を監修した人
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工藤 綾乃 先生 獣医師

札幌出身。地元の北海道大学を卒業後、関東の動物病院で勤務。腫瘍症例の治療に携わるなかで、より効果的な治療を見つけたいと考え、現在は麻布大学博士課程に在籍中。ねこと暮らしながら実験漬の日々を送っている。専門や興味のある分野は、がん、麻酔・集中治療、野生動物臨床など。

発行・編集:株式会社トレッタキャッツ

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