ねこの夜鳴きとは?原因と対策をねこの年齢別に解説。
ねこの夜鳴きとは
夜や早朝にねこが鳴くことで、睡眠が妨げられたり、近所への迷惑を心配したりするご家族もいらっしゃるのではないでしょうか。獣医学において「夜鳴き」という言葉は使いませんが、この記事ではわかりやすいように夜に過剰に鳴くことを夜鳴きとして説明します。
動物は、活発に行動する時間帯によって夜行性、昼行性、薄明薄暮性(はくめいはくぼせい:夕暮れや早朝など薄暗い時間帯に活動する)に分けられます。ねこは薄明薄暮性に分類されるので、例えば早朝にご飯を求めて鳴くのは生理的な行動であるといえます。そうはいっても、ねこの睡眠パターンが家族とほぼ同じであれば家族の睡眠が妨げられることもないので望ましいですね。一般的には、ねこが歳をとるにつれて生活リズムが整ってくると、夜鳴きも少なくなってくることが多いです。
ただし夜鳴きをするねこは、活動時間だから鳴いているのではなく、病気が隠れている場合や、何かを訴えるために鳴いている場合もあります。どのようなときにねこは過剰に鳴くのでしょうか。
原因
ここでは、年齢別に考えられる要因を紹介します。
子ねこ
寒いときや自分を守る母ねこや飼い主の姿が見えなくなると、不安や寂しさから鳴くことがあります。
成ねこ
発情時のねこはよく鳴くことが多いです。雌ねこの発情期はかなり大きな声で叫ぶように鳴きますが、これは正常な行動です。雄ねこも、発情した雌ねこのにおいを嗅ぐことで鳴くことがあります。
高齢ねこ
視力や聴力の低下による不安感や、腎臓病や口腔内疾病など痛みを伴う病気のときに鳴くことがあります。また、高齢のねこでは甲状腺機能亢進症という病気を発症しやすくなりますが、この病気のねこは過度に鳴くことがあります。
その他高齢のねこに特徴的な病気に認知機能障害があります。特に夜によく鳴くようになる以外にも、うろうろと徘徊する、トイレ以外の場所で排尿する、などといった行動の変化がみられることがあります。
全ての年齢のねこ
空腹のねこは、鳴いてごはんを求め、寂しい・かまってほしいねこは鳴いて家族の注目を集めようとします。トイレが汚い場合も鳴くことがあります。
その他、日中に運動不足で体力をもてあましているねこは、夜に活動的になったときに遊ぶ相手がいないと欲求不満から鳴くこともあります。
新しいペットや家族が増えた、引っ越ししたなどの環境の変化によるストレスや不安もねこが過剰に鳴く原因になることがあります。
対策
寂しさ
ねこが寂しさや構ってほしさから鳴いている場合は基本的に無視しましょう。鳴けばかまってもらえる、と学習してしまうと、いつまでも鳴き続けることになり、状況は改善されません。鳴いていないときになでてあげる、鳴き始めたら静かにねこから離れるといった対策をとりましょう。
発情
発情による鳴き声が問題となっている場合は不妊手術を受けることで対処することができます。鳴き声を抑えられるだけでなく、望まない妊娠といった他の心配事も取り除くことができます。
高齢
ねこが高齢になると、様々な病気にかかりやすくなります。歳をとったから仕方がないのだ、と考えることは危険です。気になる症状があれば病院で相談したり検査を受けたりしましょう。認知機能障害の場合は、しっかりとねことスキンシップをとる、不安を和らげてあげる、昼は遊んで夜は眠るという生活リズムを作るといった対策や、特に夜間に徘徊するねこには常夜灯が役に立つこともあります。
空腹
夜や早朝におなかがへって鳴いている場合は、食餌の回数を複数に分けたり、食餌時間を調整したりしましょう。食事回数を増やす場合は、一日であげるフードの量は増やさず、一回当たりに与える量を少なくして回数を増やすようにしましょう。
トイレ環境
ねこはトイレ環境に敏感な動物でもあるので、トイレを清潔に保つことや、トイレの数を増やすことも考えましょう。トイレの理想の数はねこの数+1です。
ストレス
運動不足や退屈を感じているねこに対しては、日中にできるだけねこと遊んであげるのが良いでしょう。時間がない場合は、電動で動くおもちゃを取り入れてみるのもいいかもしれません。
不安
不安を感じているねこに対しては、不安のもとを取り除いてあげることが一番です。家族やペットが増えた場合はねこのスペースを確保してあげる、引っ越しをした場合はねこの匂いのするタオルなどをベッドにおいてあげる、スキンシップを積極的にとってあげる、などのねこが安心できるように環境を整えましょう。
2. Feline vocal communication. C. Tavernier, et al. J Vet Sci. 2020.
3. Potential Causes of Increased Vocalisation in Elderly Cats with Cognitive Dysfunction Syndrome as Assessed by Their Owners. P. Černá, et al. Animals (Basel). 2020.
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