ウィズ・コロナ時代のねことの暮らし、動物病院との向き合い方。
2020年、突如として猛威をふるいはじめた新型コロナウィルス。ねこの飼い主のみなさまは、人への影響だけでなく、ねこへの影響や、ねこ同士の感染を心配されている方も多いかと思います。
Photo by Eric Han on Unsplash
そこで今回は、ウィズ・コロナ時代にねこと、そして動物病院とどのように向き合っていくべきか、国内外の獣医療サービスや業界の動向に詳しい獣医師・動物薬事コンサルタントの氏政雄揮さんに教えていただきました。
新型コロナウイルス感染症の流行による緊急事態宣言は解除されましたが、まだ東京や北海道などでは散発的に発生していますし、海外との交流が再開されるに連れて、今後全国で第二波の流行も危惧されています。まだ数年は新型コロナウイルスと共存することを覚悟しなければなりません。そこで「ウィズ・コロナ時代のねことの暮らし、動物病院との向き合い方」を考えましょう。
ねこは新型コロナウイルスに感染するの?
海外では新型コロナウイルスに感染した飼い主からねこに感染した例や、「ねこーねこ感染」を実験で確認した論文が発表されています。そのため、ねこを家の外に出さないなど適切な飼育環境を維持して、飼い主さんが感染した場合は可能な限り濃厚接触を避けて下さい。でも、もし飼い主さんからねこに感染した場合でも2週間程度でねこの体内からウイルスが検出不可能なレベルに低下すると報告されています。隔離期間を設ければウイルスはねこの体内から排出され、通常の生活に戻ることができます。
ねこから人に新型コロナウイルスは感染するの?
家庭で適切に飼育されている状況では、ねこから人に感染させるリスクは非常に低いと考えられており、報告もありません。ミンクから人に感染した例ではミンク牧場という特殊な飼育環境が関係していると考えられます。
動物病院ではどんな新型コロナウイルス対策をしているの?
写真は(公社)東京都獣医師会が作成されたポスターですが、東京都だけでなく他の道府県でも動物病院ではこのような三密(密集・密閉・密接)対策やその他の対策を行っています。感染が再流行したときには、さらにマスク、手袋、ゴーグルなどの個人用防護具を使用するなど、十分な感染防御策がとられると思います。
(公社)東京都獣医師会のポスター
飼い主さん自身が感染したときに備えて何か準備できる?
新型コロナウイルスは人から人に感染する病気ですので、まずご自身の感染対策(手洗い、消毒、三密対策など)をしっかり行って下さい。そしてもし飼い主さんが感染してしまって動物病院に連れて行けない事態が生じたり、ねこを預かってもらったりする場合に備えて、家族や親しい友人とその準備について話し合っておくことをお勧めします。また有料ですがペットホテルや動物病院にねこを連れて行ってくれるサービスもあるので、あらかじめ調べておくと良いでしょう。
ねこを感染させないために動物病院にお願いできることは?
腎臓病や心臓病など慢性疾患をもつねこを飼っていらっしゃったら、とても心配なことと思います。飼い主さんの在宅ワークの前後でねこの体調の変化があるかもしれません。少しでも不要不急の来院を減らすためには、日頃からねこの食事量や飲水量、おしっこやウンチの量と回数、体重などを記録する習慣をつけましょう。トレッタのアプリではメモも追加できるので便利です。動物病院での滞在時間を短くするために、事前に電話での問診やオンライン診療が可能かをたずねてみても良いと思います。また、普段よりも長期間分のお薬の処方をお願いしたり、カード決済や電子マネーなど非接触で支払いが済ませられると安心ですね。また、病院の通販が可能なところも増えてきましたので、その利用も選択肢の一つです。また、ご自身の体調が悪い場合には、来院を控える勇気をもって、前述の別の方法をご検討ください。
飼い主さんとねこちゃんが共に長く健康でいられるようお祈り申し上げます。
引用:公益社団法人東京都獣医師会公表資料
北海道大学獣医学部卒業、同大学院獣医学研究科修士課程修了、獣医師。 大学院では人と動物の共通感染症を研究し、現在は動物薬事コンサルタントとして動物用医薬品や診断薬の開発を支援するほか、(公社)日本獣医師会、(公社)日本薬剤師会をはじめ、全国での講演や執筆も多数。国内外の獣医療サービスを調査し、業界の動向分析も行う。
ひとこと妻とねこと犬たちと一緒に暮らしています。今まで犬派だと思っていましたが、ねこと暮らして自分がねこ派であることが判明しました。獣医業界の発展を通じて、飼い主さんと動物たちが幸せに暮らせるよう従事しています。妻と保護主として動物保護活動にも取り組んでいます。
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