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ゆり中毒について

獣医師が監修しました
工藤 綾乃 先生

獣医師

ゆり中毒とは

ゆりは部屋に飾られることも多い綺麗な花ですが、自宅にねこがいる場合には要注意です。ねこがゆりを摂取すると、腎臓が致命的なダメージを受けてしまい、最悪の場合亡くなってしまうこともあります。

原因

ゆり中毒の原因となる物質は特定されていませんが、ねこは、ゆりの葉や花びら、花粉を少し摂取しただけでも中毒になる危険性があります。さらに、ゆりを飾った後の水を飲むだけでも中毒を起こしたねこがいますので、注意が必要です。

特にテッポウユリやオニユリ、ヤマユリなどのユリ属の植物や、ワスレグサがねこの腎臓にとって有毒と言われています [1]。もし、ゆりの学名が分かる場合には、LiliumやHemerocallisなどの属名の場合は特に有毒ですので、ねこに近づけないようにしてあげてください。

 

症状

腎臓がダメージを負い体の老廃物をうまく処理できなくなります。老廃物が体に過剰に溜まると、尿毒症と呼ばれる状態になり以下の症状が見られます。

・よだれ 

・嘔吐

・食欲の低下、元気がなくなる

・尿量の変化(初期には尿量が増えた後、尿がでなくなります。)

尿が出ないまま症状が進行してしまうと、不整脈などが生じ、最悪の場合亡くなってしまいます。

 

診断のために行う検査

・身体検査:脱水の有無がないか、不整脈などがないかを調べます。

・血液検査:腎障害の指標となる血液検査項目を調べたり、血液中のミネラル分のバランスに異常がないかを調べます。

・X線検査:腎臓のサイズに異常がないか、他に腎臓に異常を起こす病気が隠れていないかを調べます(尿路結石など)。

・超音波検査:腎臓のサイズに異常がないか、お腹の中に水が溜まっていないか、結石などがないかを調べます。

治療

ゆりの摂取が疑われる場合は、可能な限り早く胃内のゆりを吐き出させる処置や内視鏡などを用いて胃内の洗浄を行うことが推奨されます。また、活性炭と呼ばれる毒素を吸着してくれる薬を口から投与し、ゆりの毒素を吸着させることもあります。さらに、最も重要な治療として、早期に点滴治療を行う必要があります。点滴の方法としては、入院して静脈点滴治療を行うことになる場合もあります。

ゆり中毒において、最も注意が必要な症状は尿がでなくなることであり、この症状はゆりの摂取後数日以内には生じると言われています。尿がでなくなってから治療を開始した場合には、その前に治療を開始した場合と比較し、亡くなってしまう可能性が高いとも言われています。そのため、摂取が疑われる場合にはなるべく早く獣医さんに相談し、治療を受けてあげてくださいね。

 

参考文献:

1. Lily Toxicity in the Cat. Fitzgerald K, Top. Companion Anim. Med. 2010.

監修者

工藤 綾乃 先生 (獣医師)

札幌出身。地元の北海道大学を卒業後、関東の動物病院で勤務。腫瘍症例の治療に携わるなかで、より効果的な治療を見つけたいと考え、現在は麻布大学博士課程に在籍中。ねこと暮らしながら実験漬の日々を送っている。専門や興味のある分野は、がん、麻酔・集中治療、野生動物臨床など。